« 【画像処理シリーズ】 ⑨【技1】画像についた汚れの除去 | メイン | 【RICOH GXRデジスコ】露出の暴れについて その2 »

2010年06月16日

【RICOH GXRデジスコ】露出の暴れ について

「露出の暴れ」という課題を持つ 「RICOH GXR デジスコ」について㈱リコーさんから頂いたヒントをベースに考えてみました。
(なるべく、一般の方にご理解頂けるように表現しています)


APS-Cサイズの撮像素子の場合は、小さなCCDを持つコンデジほどF値はかせげません。
[アイピース倍率] × [デジカメの焦点距離] ÷ [スコープの口径] = [デジスコF値]
例えばTSN-884/TE17W/GXRで撮影の場合、30×33mm/88mm=F11.25 となります。

総合焦点距離1500mmでF値はおよそ11です。

GXRの測光はF11の光学系を前提に計れば、測光~液晶画面表示のアルゴリズムと測光~撮影のアルゴリズムが一致するのではないかと考えられます。
現状では大きな接眼レンズから放射される光が小さなカメラレンズで受け止めきれずに測光段階で誤認されることで「露出の暴れ」が発生すると思われます。
そこで、光学系全体のF値とカメラのF値を近似させれば測光値と適正撮影値が一致するのではないかと考えました。

例えばカメラF値設定を開放(F=2.5)でセットしていても、スコープで光が遮られて実測F11の明るさでシャッター速度が計算されているはずです。EXIF情報のF値は2.5から11まではすべてF11と考えたほうが良いでしょう。

「F11・・・暗いシステムなんですね」と考えがちですが、GXRはミラーショックやフォーカルプレーン振動はほとんど考えなくても良いシステムですから、例えばシャッター速度1/3秒の撮影でも被写体さえ動かなければ鮮明画像で撮影できます。

一眼レフなど、焦点距離1000mmを超える条件においてこの遅いシャッター速度では『絶対に』ブレなしで撮影できません。

もちろん、APS-Cフォーマットですから、明るさや色調の諧調も豊かですから小さなCCDでは表現できない深みのある画像を楽しめます。
ISO感度もISO800までは実用的な領域ですからベースのISO200の4倍のシャッター速度が得られます。
もちろん、この暗い環境においてもF11にセットしておけば液晶画面にしっかり再現され、ピント合わせや露出調整ができる(はず)なのでデジイチの尺度で考えなくても良いと思います。

露出時間 1/3 s
F ナンバー f/3.2(表示は3.2でも実情はF11と考えられます)
露出プログラム 絞り優先度
ISO スピード レート ISO 200
露出補正値 -0.70 eV
測光方式 中央部重点測光
レンズ焦点距離 33 mm
露出モード 自動露出
ホワイトバランス 自動ホワイトバランス

GXR本体の「リモートシャッターUSB端子の耐久強度が低い」という声もありますが、ミニUSB端子に過大なショックをかけることのないように使用すればあまり問題にならないことと思います。もちろん、ホットシュー取り付けタイプのレリーズステーが欲しいという方が多ければ商品化も考える余地もありますが、現状ではお応えできそうにありません。

また、AF使用について、現在もリコーさんの協力を得ながら試行錯誤しています。良い結果が出るとよいのですが・・・・


投稿者 たーぼ♪ : 2010年06月16日 14:38

コメント

GXR1ユーザーとして今回の親切な説明有難うございました。
そこでもう一点解決してほしいのですがよろしくお願いします。
スコープを通して、絞り優先モードで撮影した場合と、カメラをスコープから外し、絞り優先モードで同じ被写体をスコープで撮ったのと同じ位の大きさになるような位置まで近付いて撮った場合とでは、当然SS速度が違っているだろうと思ったのですがSSはデジスコでも単体でも殆んど同じでした。
どなたか関心のある方は確認して見てください。
Exif情報表示の不具合でしょうか。

投稿者 定年隊 : 2010年06月17日 07:47

たーぼ♪さん、ご無沙汰しております。
GXRユーザーではないのですが、GF1、DP2でも同じような現象が発生してましたのでコメントさせていただきました。GF1、DP2はスコープにつないだ時の合成F値の範囲内では、絞り優先モードでF値を絞るとハイキーに、開放だとアンダーになります。

実験してみると、絞り優先モードでF値を変えていくとSSも変化して、露出にも変化が見られますが、シャッター優先とかマニュアルでSSを固定して、F値を変化させていっても合成F値の範囲内では露出に変化はありません。したがって、露出の暴れというより、SSが変化するから露出が暴れるんだという考えに切り替えて、F値は度外視して、SSをコントロールすることで露出をコントロールするという方法をとってます。

GF1は絞り優先の場合は、開放の2.8だとアンダーになるので、4.0近辺で固定して使ってます。林の中などで空抜けとか、暗いところとか、露出が安定しないような場所では、マニュアルでSSをある程度固定しておき、状況に合わせて多少SSをコントロールしながら露出補正するという方法をとってます。

定年隊さんの言われてるようなことも、露出の暴れも、カメラ側が、スコープの存在を理解してないのでこのような現象が起きるのですかね。NEX-5ではスコープの存在を理解してるか、このような現象は起きてません。合成F値の範囲内であっても、絞りも機能します。

投稿者 あにょ : 2010年06月17日 10:51

公式ブログでの解説、お待ちしておりました。引き続きお願い致します。
ですが、ちょっと私には分かりにくい解説でした。(無知なもので… (^^ゞ

>APS-Cサイズの撮像素子の場合は、小さなCCDを持つコンデジほどF値はかせげません。

まずこちらの説明が欲しかったですね。
つまり、TSN-884/TE17W/GXRでの撮影と、別のコンデジでの撮影ではスコープ、接眼は同じでも出てくる画の明るさは相当違いますよね?
なぜ撮像素子の小さなコンデジの方が明るく撮れるのかが知りたい部分です。

光の入口に大きくて明るいレンズを使用したスコープでも接眼レンズを通して得られる光量は相当少なくなります。
その少なくなった光をカメラレンズを介して撮像素子が受け取ります。
少ない光量であってもサイズの小さな撮像素子なら十分であるが、サイズの大きな撮像素子では不足気味となる。
ゆえにCCDより数倍大きなAPS-Cサイズの撮像素子を持つカメラでは暗くなる。

などと勝手に思い込んでいましたので、

>現状では大きな接眼レンズから放射される光が小さなカメラレンズで受け止めきれずに…

の部分に矛盾を感じてしまいました。

まぁ、理屈は分かりませんが、この2ヶ月間使用した感触からF値を合成F値あたりにセットしておけば回避できることは納得です。
シャッター優先でも試しましたが、あにょさんの言われるようにこれも一つの方法かなと思います。

USB端子の強度不足は設計時に配慮が足りなかったわけで、これは慎重に扱うしかありませんね。


私にとって重要なことはAE/AFターゲットが使えるかどうかです。
今朝、短い時間でしたがAFを試してみました。
感触としてはレンズが衝突せずに使えそうでしたが、このあたりを含め正確な検証結果が待たれます。

投稿者 もり 。 : 2010年06月17日 17:52

皆様、コメントありがとうございます。
なにぶんにも、原因が決定的なレベルで解析されているわけではないので、さらなるご質問にお答えできる知見を現在は持ち合わせないので、わかっていることだけお返事させていただきます。

定年隊さん

>スコープを通して、絞り優先モードで撮影した場合と、カメラをスコープから外し、絞り優先モードで同じ被写体をスコープで撮ったのと同じ位の大きさになるような位置まで近付いて撮った場合とでは、当然SS速度が違っているだろうと思ったのですがSSはデジスコでも単体でも殆んど同じでした。

F2.5(開放)で1/30の距離で写した場合ということですね。詳しいことは解説できませんが、デジスコシステムのようなフロントコンバージョンシステムの場合、レンズ付カメラ(GXR)の持っている明るさ・焦点距離はレンズ前に取り付ける望遠システムの前球が無限大に大きければ限りなくGXRの明るさに近似するという理屈があります。ここら辺にヒントがありそうです。
気持ち的には、1/30の距離から同じ大きさで写せば明るくなってSSが上がるような気がします。


あにょさん

参考になります。シャッター速度から位置づけられるF値のイメージがわかれば良いと思うのですが、なにせ1500mm(30倍セット)ですから環境が暗ければ1/5秒とかのスローシャッターになってしまい、なかなか想定しにくいのが実情です。VA3などを使って700mm程度にすればそこそこイメージできるような気がします。GXRの場合、フォーカルプレーンの振動すら無いので1500mmf11(884の場合)のサイレント撮影を目指すのが性格を生かす方法とも言えます。
NEX-5の測光アルゴリズムはGXRとはかなり違うもののような気がします。定番レンズができたら面白いかも知れません。


もり。さん

>APS-Cサイズの撮像素子の場合は、小さなCCDを持つコンデジほどF値はかせげません。

>まずこちらの説明が欲しかったですね。

失礼いたしました。計算式でGXRの焦点距離33mmをS90の焦点距離に入換えてみましょう。35mmフィルム換算50mm(A12と同じ)場合、レンズ焦点距離は10.5mmとなります。

TSN-884/TE17W/S90で撮影の場合、30×10.5mm/88mm=F3.6 となります。

つまり、同じ大きさに写せる倍率に合わせた場合、(GXR)F11.25、(S90)F3.6となります。

もり。さんのご説明と同じことと思いますが、
私なりに別の表現をすると、太陽光を虫眼鏡で集光する場合、焦点に近づけば近づくほど小さい点になり明るく集光されます。APS-Cは撮像素子が大きいので同じ面積に集まる光の密度は薄く、暗くなります。1/1.7型CCDの場合は面積が小さいので光の密度が3倍程度高くなります。

>>現状では大きな接眼レンズから放射される光が小さなカメラレンズで受け止めきれずに…

>の部分に矛盾を感じてしまいました。

はい、説明が少なくて申し訳ありません。正直、私も良くわかっていなくて・・GXRの測光アルゴリズムと撮影アルゴリズム、さらに、測光方法やタイミングなど理解の届かないアルゴリズムがからまりあっているようです(;^_^A
リコーさんの見解として(彼等のアルゴリズムに適合してみると)接眼レンズの光学系とGXRのマスターレンズの光学系の光の径の差によるケラレが測光方法に誤差を与えているという答えのようです。フロントコンバージョンを想定して設計していないのだと思っています。

もり。さん、ごめんなさい、これ以上は学んでもお答えできる知識がありません(;^_^A(;^_^A(;^_^A

私がお詫びしなければならないことは、基本設定が「Aモードに設定」とだけの表記であったことでしょう。
正直、開発当初、3回のテスト撮影に出かけて合計10000枚撮影して、改めて検証してみて2カット14枚が異常なアンダー画像データであったことに、当時、気がつきませんでした。


今回、前述のようにF11にセットしてある状態であれば露出の暴れが抑えられる目処が立ち、皆様にアナウンスさせて頂きました。
リコーさんも可能な限りの協力をしてくださいました。今後も、リコーさんとは良い関係を続けて行きたいと思っています。皆さんの応援もお願いします。

AFに関しては、基本はマニュアル撮影とお願いしてあると思います。接眼レンズの選択によってはAFの使用が可能とは思いますがお約束はできません。予めご了承ください。


投稿者 たーぼ♪ : 2010年06月18日 00:34