野鳥写真にチャレンジ
「デジスコ」の ○と×
身近な場所で写真を撮ってみよう
遠くから大きく写せる方法
「デジスコ」の○と×
「デジスコ」の機材紹介 1
「デジスコ」の機材紹介 2
「デジスコ」の機材紹介 3
「デジスコ」の機材紹介 4
「デジスコ」の撮影方法
◆さあ、撮影に出かけよう


デジカメとフィールドスコープの組み合わせで写真を写す方が増えています。
日本野鳥の会などで催される探鳥会では
スコープにデジカメを押し付けて写している方がいっぱい(*^-^*)
ここでは、デジカメ&フィールドスコープ(以後「デジスコ」と略します)の
長所・欠点を実験してみます。


   拡大倍率がすごい!


下の2枚の写真を見てください。同じ場所で同じ枝を狙って写しました。光の強さや季節の違いがありますので画質よりも「大きさ」を比較してみてください。

(どちらも画素数は330万クラスですが、縦横比は若干違います。2枚ともノートリミングです)
●撮影データ CANON D30+CANON EF500F4L+EF×1.4 1120mm f5.6 
●撮影データ Nikon Coolpix880+NikonFieldscopeED78 4750mm f12.8

いかがですか?止まる位置はちょっとずれていますがおよそ40m先の枝です。デジスコは大きく撮れることがおわかりになっていただけたかと思います。常識的に一眼レフ&超望遠レンズでの撮影限界は焦点距離(35mmフィルム換算)1600mm程度と考えられます。デジスコは私が体験した範囲では4750mmまでは可能と確認しています。
遠くから大きく写せることは野鳥撮影では絶対的に有利な要素ですね。


   画像の鮮明さだってすごいよ


短い距離での撮影では大きな差がでないかもしれませんし、光の具合によっては他の方法のほうが良いかもしれません。しかし、1000mmを超える撮影であれば差が出てきます。
●撮影データ CANON D30+CANON EF500F4L+EF×1.4 1120mm f5.6
●撮影データ Nikon Coolpix880+NikonFieldscopeED78 1900mm f5.1

色合いや、雰囲気はふだいぶ違いますが、眼の輝き・羽のディテールなど鮮明さにおいてはあまり差がありません、
●撮影データ Nikon Coolpix880+NikonFieldscopeED78 1900mm f5.1

2枚目のの写真を1枚目の解像度と同じ条件にしてみました。(撮影距離はほぼ同じで倍率の差で大きくなります)画像の「鮮明さ」は充分すぎるほどあります。


   不思議とピントが合うんです(^^;

大口径(150〜170mmφ)の対物レンズを持った最新の超望遠レンズと一眼デジカメの組み合わせはAF機能が充実し、ほとんどの場合AF撮影が可能です。(但し、使いにくさもありマニュアルで使うことの方が多いのですが)デジスコはスコープのピントリングをマニュアルで操作しなければなりません。スコープの対物レンズは60〜80mmφ、超望遠レンズに比べると小さなレンズです。レンズが小さいとピントの合う奥行きが広くなるという特徴があります。写るんですのようにピント合わせがいらなくなるほどの奥行きはありませんが大口径レンズに比べればずっと楽です。
スコープのピントリングでピントの山を捕まえておけば、デジカメのAFがその中でコントラストが一番強くなるように自動調整してくれます。液晶画面でのピント合わせはとても難しいのですがデジカメのAF機能は結構信頼しても良いようです。
ピントの合う奥行き(被写界深度)が大きいこととデジカメのAFが信頼できるのでピントが合うんです。


   ブレ対策がやりやすい

焦点距離が長くなれば長くなるほどカメラのブレが画質に悪影響を与えます。一眼レフカメラはレンズを通して来た光をファインダーで見るための跳ね上げ式鏡と幕を一定時間開いて閉じるフォーカルプレーンシャッターという2つの大きな振動源があります。2000mm以上の世界ではこの微振動も大きな障害です。大口径超望遠一眼レフは、これを回避するために三脚・雲台の補強、重量による強制消去などの工夫をしています。
デジカメはD1、D30、などの一眼デジカメを除き電子シャッターが使われています。sonyのデジカメのように電子音でも出してくれないとシャッターが切れたのがわからないぐらいです。カメラが振動を出さないことのメリットは画質の向上につながります。デジスコの鮮明画像の大きな要因がこれです。

   意外と明るいレンズ

公式や計算についてはここでは省略しますが、Nikon フィールドスコープED78とcoolpix880の組み合わせの結果、1000mmでf2.8、2000mmでf5.6 これってびっくりするぐらい明るいレンズです。大口径レンズ500f4L+1.4×テレコン+D30で1120mmf5.6。フィールドスコープのレンズ構成が単純なことが理由かもしれませんがちょっと驚きです。実際の撮影でも結果の明るさは計算に近いかもしれません。

   機材が軽量コンパクト

大口径レンズ500f4L+1.4×テレコン+D30&三脚で8.5kg。デジスコは3kg。歩き回る撮影にはGOODですよね。分解するとデイバッグに入っちゃう(三脚まで)電車で移動でも、旅の荷物でも苦になりません。

   コストが安い

初期投資は10〜20万円ぐらい必要かもしれません。フィルムカメラと違ってランニングコストはほとんど不要です。このコストでプロカメラマンもびっくりするような写真が撮れれば安いと思います。

  × 動きのある画像は不向き

拡大倍率が大きければ当然なのですが、液晶画面に鳥を入れるのが大変(^^;しかも奥行き方向の探索も必要なので慣れるまでは大変です。照準器などを工夫されているかたもいます。私はファインダーで大雑把な目標を決め、液晶を見ながらピントを合わせるようにしています。一眼レフのように簡単に考えていると後悔しなければならない時がきますので、常に練習が必要ですね。
●撮影データ CANON D30+CANON EF500F4L 800mm f4
  × どうにもならないタイムラグ

デジスコで困り者は「タイムラグ」シャッター半押しでピントを合わせる作業を開始します。次に全押しでシャッターが切れるはずなのですが・・・ちょっと遅れます。このタイムラグのお陰で、鳥のいない景色画像をいっぱい写した経験もあります。一瞬のシャッターチャンスを捕らえるという意味では難しいかもしれません。

  × ケラレを回避しにくい

広角側のケラレには手をやきます。デジスコの特徴は焦点距離の長さに眼が行きがちですが、鮮明な画像は広角側(といっても1000mm程度ですが)で撮影した場合が多いようです。やはり5000mm近くなるといろいろな要素が画質を低下させますが、広角側では素晴らしい画像がえられます。
しかし、一緒にケラレもついて来るという訳です。これを回避したいのですが・・・
●撮影データ Nikon Coolpix880+FieldscopeED78 950mm f2.5 ●撮影データ Nikon Coolpix880+FieldscopeED78 1425mm f3.8

ある程度テレ(望遠)側にズーミングすれば縁取りは消えていくのですが、折角の鮮明度が減るのが残念。

デジスコの長所・短所を理解していただけましたか?
全ての撮影に対応するためにはいくつかのシステムを用意しなければなりません。
デジスコはそのなかで比較的安く、バーダーならすでに持っている可能性の高い道具を使ってできる機材です。
宜しければチャレンジしてみてください。

次は機材についての解説です。